
う〜ん、2日目にして早くも「東京」が抱える問題点に直面でがんす。
さて、まずは原点に戻ってみよう。「人はなんのために食べるのか?」・・・率直に答えるならもちろん"生きるため"だ。では、「人はなんのために服を着るのか?」・・・となると禅問答を始める人がチラホラ。ほらほら、美味しいものを頂くとハッピーになるでしょ。そういうことですよ。「ファッションには夢がある!」なんて壮大でアバウトなことは語らず、まずはシンプルに食べて(着て)くれる人の笑顔を思い浮かべながら調理(クリエーション)してみよう。さて今日の献立は・・・
【午前10時30分】
前回同様にインスタレーションを行った「AMBELL」。薄暗い会場内に立つモデルちゃんたちの顔や手足には、海をイメージした特殊メイクが施されとります。まぁ、さしずめ海鮮丼ってところかしらん。やはり、メニュー(リリース)には「SEA GEM」"海中の世界にインスピレーションを受けたコレクション"と書かれてある。ただ、それがどこの海なのか、どんなシチュエーションなのかは不明。そこは食べる(着る)人間の解釈次第ってことか?

さて、ここで考えてみてほしい。今の時代、クリエーターが自分の世界観を披露し、それを消費者が理解するなんてことは、まずありえないといっていい。だからこそ作り手は、なぜ今海なのか? それはどんな場所なのか? そのシチュエーションにあって、ここにある服はどうやって着るのか?・・・といったことをもっと具体的に掘り下げなければならない。

もちろん、これらはデザイナーご本人に聞けば、きちんとご教授いただけるだろうが、そもそも消費者ひとりひとりに対し、シェフがご説明にあがるなんてことは非現実的なことでしょう。僕が囲みをしないのは、こういう事が多分に含まれているからなのだ。
だから、シーズンでテーマをもうけるなら、より具体的に噛み砕いてから、そこに自分の世界観をくわえ、さらには今の時代性を加えていく事が重要だ。これこそが現代のファッションデザイナーに求められていることだと思う。そこに共感を覚える人たちがいて、はじめてブランドの存在意義が生まれてくるのだ。
【午後9時30分】
東京が抱えるもうひとつの闇がこちら。光の演出によるコレクションをみせた「Patchy Cake Eater」。お品書きはやっぱり"ヤミ鍋"といったところでがんすな。まぁ、その名の通り暗すぎて全く服が見えませんでした。ん〜、こうなってくると、もはや演出のためのショーでしかない。幸い現場で見た人たちの手もとには、ブランドのルックブックが渡っているかと。お手数ですが、お時間があればそこに目を通してください。「Pacthy」の本当の世界観が、分かっていただけるかと思います。

そもそもデザイナーの森野重樹さんは、いつ会っても笑顔で、パワフルで、そして前向きな人なんです。そんな面倒見のいい気さくなあんちゃんが、手がけるブランドだからこそ格好なんかつけずに、分かりやすく、そして正々堂々と見せることに集中してほしい。たしかにショーは、表現方法におけるひとつのツールでしかない。でも、ブランディングという事を考えた場合、それらを含めトータルでディレクションしていくことはとても重要なことだ。そしてそれはデザイナー本人の責務でもあり、身近でサポートしている人間の重要な役割だとも思う。 次回は、自転車を乗り捨てる事なく、笑顔で挨拶をしてまわる森野さんの姿を見てみたい。

ん〜、いきなり熱くなってしまった2日目。 このままでは破裂してまうかも・・・でがんす。
ぷしゅー!

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