

元々、ショーを行う考えはなかったというが、ビジネス的に勝負の時を迎えた「プラスチックトーキョー(PLASTICTOKYO)」がランウェイデビューを果たした。デザイナーの今崎契助は、展示会ベースで取引先を開拓し、着実に販路を広げてきた。あまり知られていないが、実はこのブランド、国内よりも海外のバイヤーがこぞって先物買いをしている。
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13年春夏のデビューシーズンから、米国「OPENING CEREMONY」(NY、LA)が継続して買い付け、その後も「H. Lorenzo」(米国)や「shine」(香港)、「KOON」(ソウル)、「OVERTURE」(台北)など、有力セレクトショップが買い付けている。海外バイヤーの共通認識は「東京っぽいブランド」ということだ。現在、海外のアカウントは計10件になり、店舗数は15店舗にまで拡大した。
「メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京」2日目に行ったデビューショーでは、色柄を駆使したレイヤードスタイルを発表。ユニセックス仕様という強みを生かし、女性モデルにビッグシルエットのトップスを合わせ、ショーツやシャツも男女で共有できるコレクションを打ち出した。今崎契助デザイナーは「(1960年代後半の)ウッドストックの時代から音楽フェスに来る人のウエアが進化していないので、自分なりにアップデートさせた」と語っている。

一見、派手に見えるサイケデリックなウエアだが、「デイリーに着用できることをショーで見せたかった」とも話している。ショーの目的意識がはっきりしており、さらに6月25~30日にはパリで合同展示会に参加し、いち早くバイヤーに作品を訴求。今夏にインタビューした際に「今年は勝負の年」と意気込みを示し、東京でのファッションショーを経て、2~3年後には(国内外合計の)アカウントを2倍にする考えを明らかにしている。

この数字も夢ではない。若手支援枠で開催したショーとは思えない内容は、「次も見たい」と思わせる構成だった。商品は100%国内生産で対応。4~5万円という手頃な価格でアウターを展開している。海外で戦えるクリエイションとプライス戦略。今回は、イベントを主催するJFW推進機構による支援枠を活用したが、それ以外はほぼ自力で取引先を開拓した点も好感を持てる。
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