SEKAI NO OWARIとエンド・オブ・ザ・ワールド(The End of The World ※SEKAI NO OWARIのグローバルプロジェクト)のフロントマンを務めるFukase。音楽活動に留まらず、ファッションアイコンとしても国内外から注目を集めている。そんなFukaseが今年3月に始動したのが、アニメーションプロジェクトBAD MOODだ。音楽、ファッション、アニメと活動の幅を広げるFukaseはそれぞれの表現についてどう考えているのか。そしてBAD MOODでは何を描くのか。エンド・オブ・ザ・ワールドのクリエイティブをサポートし、BAD MOODではクリエイティブディレクターとして参加する和田直希を交え、Fukaseのファッション観とBAD MOODのプロジェクトを紐解く。
BAD MOODとは?
今年3月に始動し、架空のバンドTHE PINK ELEPHANTSのメンバーFishman、Butt、Rabbit、UFO、Mothの5人が繰り広げる平穏かつクレイジーな日常を描くアニメーションプロジェクト。「アトモス(atmos)」とのコラボアイテムはアトモス史上最高の売上枚数を記録した。10月21日からアマゾンプライムで配信スタート。今後も様々なコラボグッズの販売を控えている。
■アマゾンプライム:BAD MOOD配信ページ
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Fukase
SEKAI NO OWARIとエンド・オブ・ザ・ワールド(The End of The World)のフロントマン。SEKAI NO OWARIが2019年に行った全国ツアーでは約30万人を動員。同年にエンド・オブ・ザ・ワールドでリリースした楽曲「Lost ft. Clean Bandit」はSpotifyによるグローバル向けの注目プレイリスト「New Music Friday」にリストアップされるなど国内外から支持されている。
和田直希
2018年にニコラ・フォルミケッティとタッグを組み、家具のサブスクリプションサービス「カマルク(KAMARQ)」をスタート。カマルクでは「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATiENTS)」による2021年春夏コレクションのショーでコラボレーションアイテムを発表した。エンド・オブ・ザ・ワールドでは、クリエイティブディレクターとしてヴィジュアル制作や多方面からサポートしている。
Fukaseにとってのファッションは「メッセージを込めたもの」
ーまずはFukaseさんのファッションの原点について教えてください。
Fukase:高校時代まで遡るのですが、学校の校長が陰湿なやり方で友達に罰を与えるような人だったので、抗議として校長先生の名前を引用した過激なデザインの服を自作して、学校に着て行ったことがあるんです。先生には「これはどういう意味なんだ」と言われましたが、逆に僕は「先生はこの服のメッセージをどう受け取ったんですか」って言い返して。服は「着るもの」という以上に「メッセージや表現を込めたもの」という意味を持っているというのが、僕のファッションに対する考え方のベースにあると思います。
ー芯が強かったんですね。当時はどんなファッションが好きでしたか?
Fukase:当時はヒップホップカルチャーにハマり、ファッションもその影響を受けていました。ベロア素材のセットアップのジャージを着たり。特に「ケー・スイス(K・SWISS)」のスニーカーは凄く大切にしていましたね。あとはラッパーのラッセル・シモンズ(Joseph Simmons)のブランド「ファットファーム(Phat Farm)」も好きでした。
和田:今流行っているようなストリートファッションよりもヤンキーっぽい服装だよね?
Fukase:まさにそんな感じです。僕はどっぷりハマっていたんですが、女の子ウケはめちゃくちゃ悪かったです(笑)。
ーその後のファッション遍歴はどうでしたか?
Fukase:SEKAI NO OWARIを始めた20歳の頃は極貧時代で、ファッションに気を遣う余裕なんてなくて。カフェでアルバイトをしていた時はお店の制服でずっと生活していて、着替える必要がないなぁと考えるくらいファッションへの興味が薄れていましたね。その反動でメジャーデビューから2、3年くらいの間は「とりあえず小さくまとまらないようにしよう」と意気込んでかなり派手な服装でした。トレンドが何なのかよく分からなくなってしまって、振り切り過ぎてしまった(笑)。
和田:最近はどう?
Fukase:僕は自転車に乗っている時に作曲することが多いので、強いて言うなら自転車に乗りやすい服。それから30歳になったらある程度きちんとした服を着ようと考えていたので、今は「高級感のある着心地の良い服」が個人的に一番しっくりきます。
(左)和田直希、(右)Fukase
音楽制作とファッションデザインの違い
ーバンドの衣装ではどんなことを意識していますか?
Fukase:バンドのヴィジュアルやツアー衣装に関しては、トレンドを取り入れる必要は無いと思っていて、音楽と共鳴してバンドのイメージを最大限に引き出す衣装であるかが重要だと考えています。
ー「トレンドを取り入れる必要は無い」とは具体的に?
Fukase:トレンドを意識しすぎると曲を聴いてくれるお客さんの年齢層もある程度限定されるんじゃないかと考えていて。例えば若者の間で流行ってる服装をしていたら「若者向けのバンドなんだな」って僕らの音楽からも遠ざかってしまう人がいるかもしれない。僕らは初期から老若男女に聴いてもらうことを目標にしているので、トレンドは敢えて無視しています。
ー衣装はスタイリストの百瀬豪さんが協力していますね。
Fukase:百瀬さんには昔からお世話になっていて、デビュー当初の衣装は僕が思い描くイメージやスケッチから百瀬さんがオーダーメイドで制作してくれたものがほとんどです。テレビなどに出演する時の衣装でも既製品に手を加えてもらって、音楽とより親和性があるものにしてもらったり。でも、普通体型の僕とNakajin、小柄なSaori、そして体格の大きい"ピエロ(DJ LOVE)"と、メンバーのサイズ感がバラバラなので既製品で衣装を合わせるのが大変ですね。アイデア出しの段階では、「サンローランは細身のシルエットだからピエロが着れないしな」って考えたり(笑)。
ー2017年のツアーで「グッチ」が衣装提供したことも話題になりました。
僕らの音楽性とマッチしていたし、オーバーサイズのアイテムも多いのでピエロも着用できると思って、僕らから衣装提供を打診したんです。百瀬さんにアレンジを加えてもらって、ツアーにぴったりな衣装を制作して頂きました。
ー最近はFukaseさん個人のファッションの仕事が増えてきている印象です。
Fukase:最初はバンド全体の統一感を大事にしたかったので、数年前までファッション雑誌などの撮影は「メンバー全員じゃ無いとNG」と言っていたんです。最近はメンバーが個人の仕事を始めたこともあって、一人の方が表現の可能性が広がることもあると考えるようになったので僕だけの出演もOKにしました。解禁後は昔オファーを断った方からも再びお声がけをいただいたり。僕個人のファッション関係の仕事はここ数年で一気に増えたと思います。
ー近年はコラボアイテムの開発にも取り組んでいますが、音楽制作とファッションデザインのプロセスに違いはありますか?
Fukase:音楽制作では身近な人を思い浮かべながら作曲することが多いですが、ファッションの場合は「僕が着たいと思うか」を大事にしています。普段から欲しいと思っていたアイテムが即完売することがよくあるので、僕の感覚はある意味"一般的"なんです。だからこそコラボとかファッション関係の仕事では「僕が欲しいもの」を突き詰めることで、皆にも喜んでもらえるものが作れるんじゃないかなと思っています。デザイン画の時点では「微妙かも?」と感じても、サンプルを着て「やっぱり良いじゃん」となることも結構あるので、必ず自分で試着して最終チェックするようにしています。
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