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2019年秋冬メンズで押さえたい5つの見どころ

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今シーズンの注目ポイントを押さえよう。

By Felix Petty; translated by Ai Nakayama

Photography Mitchell Sams

Celine初となるメンズウェア

2018年のファッションウィークで、みんなの意見が真っ二つに割れた、といえば、エディ・スリマンCelineデビュー以外にないだろう。〈スキニーの帝王〉のご帰還、はたまた〈タイトパンツのペテン野郎〉との新たな闘い...。このように反応が割れたのも、かつてのCélíneの専売特許ともいえる、〈現代女性のための知的な服〉を求めるフィービーマニアたちの、アクサン付きCélíneへの愛が深すぎるがゆえ。ショーのあとには、女性の好みの多様性が置き去りにされたまま、〈女性が求める服〉についての熱い議論が各所で活発化していたが、結局議論の参加者に徒労感が残っただけだったし、彼らはみんな、コレクションへの批判意見を「ホモフォビアだ」と指摘したエディにただただ憤慨しているだけに見えた。その後は、我らがフィービーの魂を受け継ぐ者として他の誰かを称える品のない記事があふれ、〈フィービーの後継者〉が三流のファッション記者御用達の常套句となった。

そして今シーズン、エディによるCelline初となるメンズウェア単独ショーが控えている。話題性も興奮も静まりつつある今なら、エディ・スリマンによるCelineの真価を、何にも惑わされずに見定めることができるだろう。いったいどんなショーを見せてくれるのか...。いや、おそらくみんなわかっているはずだ。エディはきっと彼の得意技を存分に披露する。キーワードはすなわち、セクシー、スキニー、モノクローム、新鮮なグラム、アンダーグラウンド精神。私たちは、それを自分が好むか否かだってすでにわかっているはずだ。

クリス・ヴァン・アッシュのBerlutiデビュー

いっぽう、エディに比べると想像しにくいのは、ベルギー人デザイナー、クリス・ヴァン・アッシュによるBerlutiのファーストショーだ。ジェイミー・ホークスワースが撮影を担当したクリス初のキャンペーンは、Berlutiの歴史を回顧するものだったが、2019年春夏の限定カプセルコレクションは、Dior Hommeでの10年間で彼が磨き上げてきたシグネチャーを踏襲しており、着やすいラグジュアリーとインパクトの強い主張、落ち着いた大人のための服と若い活力に満ちた服、それらのバランスがとれたコレクションだった。エディ・スリマンの後を継いでDior Hommeを手がけたクリスだが、今回もまた、このうえなく純粋なラグジュアリーファッションを極め、Berlutiでの3シーズンで多数の人気アイテムを生み出したハイダー・アッカーマンという偉大なる前任者の後を継ぐことになる。

キムのDiorとヴァージルのLouis Vuitton、次の手は?

前シーズンのメンズウェアコレクションで最大の話題をさらったのは、キム・ジョーンズのDiorデビューとヴァージル・アブローLouis Vuittonデビューで間違いない。彼らは新鮮な感覚とムードをファッションに取り入れながら、ラグジュアリーメンズウェアを解体・再構築した。では次は? 時代を決定づけたあのコレクションのあと、彼らは何を見せてくれるのだろうか。

2018年12月、英国ファッションアワードでそれぞれが自身の功績にふさわしい賞を授与されたばかりのふたりだが、今世間の注目を集めているのは、見事な前シーズンに続く彼らの新コレクション。キムはDiorのアトリエで自らのやりかたを模索しているが、東京で発表されたプレフォールコレクションは、ムッシュ・ディオール本人の人生とスタイルを称えながら繰り広げられるレトロ・フューチャーテイストだった。ヴァージル・アブローは新鮮さがもたらす衝撃波が去った今、Louis Vuittonでの至高のファーストコレクションに続く次のコレクションで何をするだろう? 時間の流れが速いファッション界では、最新の作品が自分の評価に直結する。増すばかりのプレッシャーに対する、ふたりの回答が楽しみだ。去年難所に跳びこんだ彼らは、今泳ぎはじめている。

パリの一強時代

メンズファッションウィークは不安定だ。クリエイティブ面で、というよりも、その位置づけ・重要性が揺らいでいる。まず男女というジェンダーが崩壊しつつあるラグジュアリー業界では、メンズとウィメンズをひとつのショーで合同発表してビジョンを示す大手ブランドがかなり増えている。そうしてGucciSaint LaurentBurberryなどのビッグネームがメンズファッションウィークから姿を消した。いっぽう、ストリートウェアがメンズファッションにもたらす影響も大きい。ラグジュアリーウェアのスケジュールから外れているストリートウェアが起爆剤となり、メンズファッションに新しい勢いが生まれている。ロンドンやミラノのメンズファッションウィークのスケジュールを見ていると、ビッグネームがほとんど見当たらない。ミラノで頑張っているのは、PradaFendiくらいだ。

そんななか、中堅メンズウェアブランドがどんどん集まっているのがパリだ。最近ではJW Andersonが、メンズウェアコレクションの発表の場をロンドンから花の都パリへと移した。デザイナーのジョナサン・ウィリアム・アンダーソンは、JW Andersonだけでなく、Loeweのメンズウェアショーを初めてパリで開催する。Jil Sanderもミラノからパリへ移り、昨シーズン、ショーを開催しなかったRaf Simonsも復活。昨シーズン、マルセイユでメンズウェアコレクションデビューを果たしたJacquemus、COMME des GARÇONSの一翼から独立し、丸龍文人自らのブランドとして再始動したFUMITO GANRYU、さらにVetementsのショーも絶対におもしろいはず。パリのファッションウィークは忙しくなりそうだ。Celine同様、Givenchyも男女合同ショーの波に抗い、クレア・ワイト・ケラーが初の単独メンズウェアショーを手がける。

ロンドン・ファッションウィークの見どころは?

難しい質問だ。ピッティ・ウォモからCraig Greenが戻ってくるのはありがたい。前述のとおり、JW Andersonがユーロスターに乗ってパリへ旅出ってしまった今、ロンドン・ファッションウィークには深刻なビッグネーム不足に悩まされている。というわけで、やはりいつものように若い才能に目を向けてみよう。まず単独ショーデビューを果たすArt School。Fashion Eastに参加するMowalolaとRobyn Lynch。2度目のショーを発表するBianca SaundersとParia Farzanehは、未来を担う新星だ。それらのブランドよりも少々有名どころの若手だと、CottweilerA Cold WallKiko Kostadinov、Per Gotesson、Liam Hodgesあたりには、質の高いファッションが期待できるだろう。残念ながら、グレース・ウェールズ・ボナーとマーティン・ローズのショーの予定は今のところない。ロンドンに今必要なのは、彼女たちが描くビジョンなのだが。

This article originally appeared on i-D UK.

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